研究部 大学入試分科会(旧 調査部) 令和元年(平成31年)度活動報告


第5回大学入試分科会研究協議会

日時  9月6日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)

場所  東京都立小石川中等教育学校

参加者 14名

内容

(1)中央大学

(2)学習院大学

(3)東海大学

(4)自治医科大学

(5)東京海洋大学

(6)11月5日授業研究の指導案検討

(7)今後の予定

(8)その他

  • 中央大学・経済学部:[1]小問集合。(1)不定方程式。(2)指数不等式、2次不等式に帰着。(3)ベクトルの内積。(4)組分け。(5)3次関数の極大極小。(6)3次関数のグラフ、面積。[2]三角関数の最大最小、2次関数に帰着。[3]群数列。
  • 中央大学・理工学部:[1]複素数平面上の正n角形の中心および頂点の座標。[2]分数関数のグラフと直線で囲まれた面積。[3]ランダムウォーク、円形。確率漸化式。[4]マクローリン展開。不等式の証明。
  • 学習院大学・理学部(数):[1]小問集合。(1)無理関数の変曲点。(2)さいころを投げ、6の目が偶数回出る確率。[2]2つの対数関数の曲線で囲まれた面積。[3]複素数平面上の点列。円の中心と半径。[4]交点の位置ベクトル。面積の最小値。
  • 東海大学・理学部統一:[1]小問集合。(1)2次関数のグラフとx軸との共有点。(2)白球と赤球を1列に並べる並べ方。(3)指数関数。対称式。(4)ベクトルの内積。(5)平均値と分散。[2]漸化式。偶奇、階差数列。[3]三角関数の最大最小、2次関数に帰着。[4]2次関数のグラフと接線で囲まれた面積。
  • 自治医科大学・医学部:[1]~[20]すべて小問。剰余。対数。対称式。約数と倍数。複素数。対称式。三角関数。恒等式。解と係数の関係。三角形の辺。絶対値。確率の比。ベクトルの内積。点の回転移動。数列の和と一般項。中点の軌跡。導関数。接線の方程式。曲線と直線で囲まれた面積。回転体の体積。[21]接線の列。曲線と直線で囲まれた面積の極限値。
  • 東京海洋大学・海洋生命科学部・海洋資源環境学部:[1]絶対値を含む関数の定積分関数。積分区間定数。[2]ベクトルの内積、不等式、相加相乗平均。[3]約数と倍数の証明。二項定理。数列。数学的帰納法。[4]取り出した3枚のカードに書かれた整数に関する確率。[5]文字を含む3次関数の最大最小。
  • 東京海洋大学・海洋工学部:[1]3次関数の増減、接線、面積。[2]三角関数。円と直線との位置関係、接線。[3]連立漸化式。座標と考えると回転移動と平行移動。[4-Ⅰ]円に2点で接する放物線。弦の長さの最大値。[4-Ⅱ]分数関数と対数関数。定積分。
  • 11月5日授業研究の指導案検討:単元は2次関数のグラフとx軸との共有点の個数。2次方程式の解の個数を判別式で求めるところは終わっている。「2次関数のグラフとx軸との共有点の個数」と「2次方程式の解の個数」は一致することを学び、文字係数の場合に応用する。グループディスカッションの形式で進め、良い答案はスクリーンに映して共有する。どこに主眼を置くか。次回の分科会で指導案を固める。
  • 今後の予定:次回は10月25日(金)に小石川で行う予定。11月5日(火)紅葉川高校にて第93回授業研究。

第4回大学入試分科会研究協議会

日時  7月26日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)

場所  東京都立小石川中等教育学校

参加者 11名

内容

(1)茨城大学

(2)宇都宮大学

(3)明治大学

(4)横浜市立大学

(5)研究収録で取り上げる項目と分担

(6)今後の予定

(7)その他

  • 茨城大学:工[1]小問集合。(1)極限値の計算。指数関数、分数関数。(2)微分係数の計算。分数関数。(3)定積分の計算。指数関数、対数関数、三角関数。[2]小問集合。(1)複素数のn乗根。(2)楕円の接線の方程式。(3)分数関数のグラフ。不等式。[3]小問集合。(1)データの平均値、中央値。(2)3次関数の極値。(3)無理数であることの証明。背理法。[4]等比数列の逆数で定められた数列の取り得る値の範囲。
  • 宇都宮大学:[1]取り出されたカードに書かれた数で作られた条件式を満たす確率。[2]交点の位置ベクトル。線分の交点が外心であるための条件。[3]等差数列の一般項。等比数列の和。Σ計算。2次不等式。[4]定義域に文字を含む3次関数の最大値で定められた関数のグラフの概形。[5]三角関数を含む曲線と接線、およびx軸に垂直な直線で囲まれた面積。[6]対数関数を含む分数式の定積分。はさみうちの原理。
  • 明治大学:[1]小問集合。(1)剰余の定理。(2)平面ベクトル。三角形の内接円。(3)定積分関数。(4)3つのさいころの出た目の積の場合の数。[2]y軸に関して対称な円と文字係数を含む放物線の共有点の個数を文字で場合分け。頂点が円の内部にあるときの記述。接するときに注意。[3]n次関数と対数関数のグラフが接するとき、それぞれのグラフと接点を通る直線とx軸とで囲まれた面積の比。
  • 横浜市立大学:[1]小問集合。(1)不定方程式を満たす素数。(2)無理式を含む方程式。(3)平面ベクトル。三角形の面積比。(4)常用対数。桁。最高位。[2]4次関数の増減と不等式の証明。[3]約数の集合を用いた条件式を満たす集合の要素の個数。二項定理。[4]三角関数を用いた分数式の定積分。[5]確率分布。正規分布による近似。信頼度95%の信頼区間。
  • 研究集録で取り上げる項目と分担:時期が早いので、項目を決めるというよりも大まかに分類するという主旨で項目を挙げた。①整数、②統計、③複素数、④大学入試共通テスト、⑤微分積分(不等式評価)、⑥確率(条件付き、原因)、⑦数列(格子点)、⑧ベクトル、⑨集合と命題、⑩ハイパープレーン、⑪図形と方程式(通過領域、写像)。思い付いたものを列挙したので、すべてを書くかどうかは分からない。変更もある。担当者には別途、依頼または打診する。
  • 今後の予定:次回は9月6日(金)か、13日(金)のいずれかに小石川中等で行う予定(8月は行わない)。9月の分科会から、入試問題の検討と共に、研究集録の原稿の検討および11月の研究授業の指導案の検討を並行して行う。

第3回大学入試分科会研究協議会

日時  6月28日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)

場所  東京都立小石川中等教育学校

参加者 11名

内容

(1)北里大学

(2)東海大学・医学部

(3)横浜国立大学

(4)一橋大学

(5)聖マリアンナ医科大学

(6)大学入試懇談会報告

(7)今後の予定

(8)その他

  • 北里大学(後期):[1]小問集合。(1)平方根を含む漸化式。(2)剰余の定理。(3)約数の個数。約数のうち、3の倍数であるものの個数。(4)絶対値を含む2次関数のグラフと直線とで囲まれた面積の最小値。[2]三角関数。3倍角の公式を用いて3次関数に置き換え、増減を調べる。[3]小問集合。(1)直線に関して対称な点。(2)以降は[1]と同じ。
  • 東海大学・医学部A1:[1]小問集合。(1)三角関数の極限。(2)複素数の累乗、対称式、ド・モアブルの定理。(3)三角形の3辺の長さから垂線の長さを求める。(4)定積分関数。(5)散布図、箱ひげ図からデータの読み取り。[2]2つの円とx軸に接する円の列。面積の和の極限値。[3]絶対値を含む2次関数のグラフと定点を通る直線との共有点の個数と面積。
  • 東海大学・医学部A2:[1]小問集合。(1)n乗とn乗根の極限値。(2)円に内接する四角形の4辺の長さから対角線の長さを求める。(3)階乗の和。(4)四面体。内積。(5) 箱ひげ図からデータの読み取り。[2]分数関数のグラフと直線とで囲まれた面積。[3]複素数平面上を動く点が実軸上にあるための条件。
  • 横浜国立大学:理工・都市科[1]三角形の辺をn等分した点に関する極限値。[2]正四面体。交点の位置ベクトル。[3]さいころをn回投げたときの目の出方に関する確率。[4]線分が通過する領域の面積。[5]指数関数と三角関数を含む曲線で囲まれた部分の回転体の体積。
  • 横浜国立大学:経済[1]3つのさいころを同時に投げたときの目の出方に関する条件付き確率。[2]理工・都市科[2]と同じ。[3]3次関数のグラフと2本の直線で囲まれた面積の和。
  • 一橋大学:[1]三項間漸化式。平方数でない項が存在することの証明。[2]単位円周上の点と定点を終点とする2つのベクトルによって作られた点の軌跡。[3]3次関数のグラフと接線とで囲まれた面積。[4]2つの円が1つの円に内接し、かつ互いに外接している。円の中心とx軸および中心を通る垂線で作られた三角形の面積。[5]縦3列横3列のますにコインを置く。定められた点数となる確率。
  • 聖マリアンナ医科大学:[1]小問集合。(1)対数を含む方程式。(2)指数関数、回転体の体積。(3)平均値、分散。[2]複素数平面上のランダムウォーク、反復試行の確率。[3]単位円周上の点を結ぶベクトル、面積の最大値。[4]整数の性質。文字定数を含む不定方程式。
  • 大学入試懇談会報告:学習院大学、東京理科大学、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、一橋大学、横浜国立大学、京都大学の8大学から、概要、正答率、作成方針、2020年度以降の出題方針などについて説明があった。個々の大学についてのコメントは差し控える。
  • 今後の予定:次回は7月26日(金)に行う予定。会場校は決まり次第連絡。昨年度、初めての試みとして研究集録の検討を7月から始めた。本年度も原則として昨年度と同様のスケジュールで行う。

第2回大学入試分科会研究協議会

日時  5月24日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)

場所  東京都立小石川中等教育学校

参加者 13名

内容

(1)芝浦工業大学

(2)成蹊大学

(3)立教大学

(4)日本大学・医学部

(5)首都大学東京

(6)東京大学

(7)東京農工大学

(8)千葉大学(資料のみ)

(9)今後の予定

(10)その他

  • 芝浦工業大学:[1]小問集合。(1)仮定が偽である命題は結論の真偽に関わらず真である。偽であると解答した受験生が多いのではないか。(2)赤と青のカードを取り出す条件付き確率。(3)分数漸化式(誘導あり)。[2]2次関数の決定。領域に属する放物線の頂点のy座標の最大値。[3]小問集合。 (1)三角関数のとりうる値の範囲。合成。(2)空間ベクトル。ベクトルの垂直。(3)複素数の累乗。極形式。[4]媒介変数表示された平面上の動点の動く道のり、速さ。三角関数。指数関数。
  • 成蹊大学:[1]小問集合。(1)剰余の定理。(2)分数漸化式。無限級数の和。(3) 媒介変数表示された平面上の動点の動く速さ、道のり。[2]複素数の累乗。極形式。絶対値。[3]空間ベクトル。立方体。線分の長さの最小値。面積。[4]三角関数の最大最小。曲線と直線との共有点。曲線と直線で囲まれた面積。
  • 立教大学:[1](1)整数の剰余。(2)整式で表された要素をもつ集合の和集合と共通部分。(3)絶対値を含む方程式を満たす複素数。(4)3桁の整数が3、5で割り切れる確率。(5)三角関数の極限値。[2]数列の偶数番目と奇数番目を取り出した数列。連続する4項を取り出した数列。[3]分数関数。変曲点。極値。接線。面積。[4]座標平面上の正方形と直線の交わり方。点が動く領域の面積。
  • 日本大学・医学部:[1]小問集合。(1)無理数の計算。(2)2次方程式。(3)白玉と赤玉を取り出す確率。(4)対数不等式。[2]小問集合。(1)直線と楕円の共有点。(2)数列の和と一般項。(3)極限値から定数を求める。分子の有理化。(4)2曲線に囲まれた図形の面積。[3]三角形の1つの頂点から垂線を下す。2つの直角三角形の内接円。[4]無理関数と直線で囲まれた面積。[5]正四面体の辺上の点を結んでできる三角形の面積。
  • 首都大学東京:[1]三角関数の和積変換公式を導く。公式を利用した和の計算。方程式。[2]定積分と不等式。絶対値を含む周期関数の定積分。区分求積。極限値。はさみうちの原理。[3]2次関数の接線と法線の本数。判別式。3次関数の増減、極値。
  • 東京大学:[1]無理関数を含む分数関数の定積分。[2]正方形の辺上の点を結ぶ三角形の面積が与えられているとき、辺の比を求める。[3]八面体と平面が交わってできる切り口の形状と面積。[4]文字式の最大公約数を求める。ユークリッドの互除法。整数の2乗にならないことの証明。背理法。[5]指数関数と三角関数の方程式の解によって定まる数列。不等式の証明。極限値。微分係数の定義。[6]4次方程式の異なる4つの解の取り得る値の範囲。
  • 東京農工大学:[1]交点の位置ベクトル。垂直に交わるための条件。[2]漸化式で定まる数列を係数とする定積分関数。[3]無理関数の最小値。接線。漸近線。[4]三角関数の定積分の最大最小。
  • 今後の予定:次回は6月28日(金)に小石川中等で行う予定。昨年度、初めての試みとして研究集録の検討を7月から始めた。本年度も原則として昨年度と同様のスケジュールで行う。
  • その他:5月26日(日)に日数教の大学入試懇談会が行われる。大学入試分科会から2名派遣する。

第1回大学入試分科会研究協議会

日時  4月19日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)

場所  東京都立小石川中等教育学校

参加者 12名

内容

(1)京都大学

(2)今後の予定

(3)その他

  • 京都大学:理[1]京都大には珍しい小問集合であった。問1は答えのみなら容易に推測できる。2倍角の公式と3倍角の公式を使うことが予想できるので、とりあえず書き出して、cosθとcos2θ,cos3θとの関係式を作ろうとすると方向性が見えてくる。答えのみで記述不足の答案が多かったのではないか。問2は、教科書レベルであるが、様々な要素が含まれているので、選抜問題としては適している。[2]類似の問題が過去にもあった。素数なので、片方が2なのではないかと予想できる。方針が決まれば個別に計算するだけなので難しくはない。同様に考えた受験生も多かったのではないか。[3]A(0, 1), B(1, 0)として考えると、結論だけはすぐに出る。あとは一般化すれば答案を作ることができる。斜交座標を用いた答案も多かったのではないか。斜交座標は教科書で定義していないので議論となることが多い。鋭角三角形に限定した意図は何か。図を描き易くするためか。鋭角三角形になるように座標を設定しようとすると、むしろ条件は厳しくなる。鋭角三角形に限定されないような座標設定をした答案はどのように採点されたのか。パラメータを用いて点Pの軌跡を考えると放物線になる。[4]書き出してみれば複雑な条件ではない。変数が2つあるので、定石通り片方を固定して考える。計算は等比数列の和しか使っていない。一見、反復試行のように見えるが、そうではない。[5]これも解き易い問題で落とせない。何を変数とするかによって式が変わってくる。予備校3社では置き方は3様であった。難易度は高くないが、短文で京都大らしい問題。[6]常用対数表が付いていた。京都大では2008年度に三角関数表を用いたものがあった。当時は表を使えない受験生がいたようだが、今回はどうか。例えば、「ただし、log102=0.3010として計算せよ」という書き方であれば、そのまま代入して終わりである。対数表の場合は近似値として載せているから、原則として不等式で挟むことになる。どこまで要求されているのか。Webに掲載されている予備校の解答例では、そのまま代入しているものと、不等式で挟んでいるものとがあった。内容自体は、ド・モアブルの定理を使えれば基礎的な問題である。
  • 今後の予定:次回は5月24日(金)に小石川中等で行う予定。昨年度、初めての試みとして研究集録の検討を7月から始めた。本年度も原則として昨年度と同様のスケジュールで行う。
  • 研究集録「ベクトル」:本年度の京都大学で出題された四面体の問題を“アフィン変換”の視点から深く掘り下げる。問題文には「AC=BD, AD=BC」という条件があるが、任意の四面体に対して成り立つ。アフィン変換は面積比・体積比を保存する。アフィン変換を施すと、任意の四面体はすべて正四面体に帰着できる。アフィン変換のこれらの性質を、京都大学の問題を題材に検証する。さらに一般化させ、平行六面体や斜交座標、印刷物のプログラミング言語などに応用した例も紹介する。
  • その他:5月18日(土)に都立武蔵高校で都数研の総会が開催される。5月26日(日)は日数教の大学入試懇談会がある。大学入試分科会から2名程度派遣する予定。