第9回大学入試分科会研究協議会
日時 3月25日(火) 16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)
場所 東京都立小石川中等教育学校
参加者 13名
内容
(1)東京大学
(2)九州大学
(3)関西大学
(4)学習院大学
(5)東北大学
(6)横浜国立大学
(7)札幌医科大学
(8)熊本大学
(9)琉球大学
(10)来年度の分担と会場校
(11)その他
● 東京大学:理科[1](1)四角柱の切り口の面積の計算。ベクトルの面積公式を用いるのが計算量が少なくて済むが、平行四辺形であることを示さなければならない。他に正射影を用いた解法なども考えられる。(2)対称式の利用。[2]題意を読み取れるか。遷移図等を描いて整理する。[3](1)共有点をもつ条件であるから判別式。(2)対称式の利用。(3)計算量が多い。敬遠した受験生も多いようだ。[4](1)評価の問題。大手予備校等から内分点を用いた解答が出ているが、内分点に気がつくのは難しいだろう。微分でも示せるが、この問題では不利。(2)等比数列に帰着させて、はさみうち。(3)中間値の定理。[5](1)剰余に関する問題。合同式を用いた解法も考えられるが、証明しなければならないものと同等のものを使用して証明と言えるか。採点基準が気になる。(2)書き並べるだけなので、(1)を飛ばして(2)だけ解いた受験生もいたようだ。(3)が(4)の誘導になっている。(4)鳩ノ巣原理。慣れてないと難しい。[6]通過領域の問題。直線の式は作れても、そこから先の処理は楽ではない。
● 九州大学:理系[2]剰余の問題。東大の[5]同様、合同式を用いた解法が考えられるが、採点基準はどうなっているか。
● 来年度の分担と会場校:今年度の参加状況等を考慮して、来年度の分担を決めた。扱う大学は例年通り。会場校は本年度と同様、小石川中等教育学校とし、都合が悪い場合には戸山高校で行う。
● その他:5月24日(土)に総会が行われる予定。総会後に大学入試分科会と定通分科会が研究発表を行う。発表内容について4月の分科会で協議する。
第6回 大学入試分科会研究協議会
日 時 平成25年10月25日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)
場 所 東京都立戸山高等学校
参加者 15名
内容
(1) 上智大学
(2) 専修大学
(3) 東京電機大学
(4) 千葉大学
(5) 工学院大学
(6) 慶應義塾大学
(7) 横浜国立大学
(8) 東京医科歯科大学
(9) 横浜市立大学
(10) 電気通信大学
(11) 東京農工大学
(12) 明治大学
(13) 東京海洋大学
(14) 法政大学
(15) その他
● 上智大学:理工[1]微分係数の定義および微分公式の証明。[2]レムニスケートの面積。[3]x(t)は懸垂線になる。
● 専修大学:ネットワーク情報[3]線型計画法。[4]2次方程式の解の配置と係数の関係を領域に表す。1992年の東大文系で類問が出題されている。
● 東京電機大学:工・未来科学・理工・情報環境[2]空間ベクトル。四面体の体積比。[3]円に内接する三角形の面積の最大値。
● 千葉大学:[1]四面体の中の平面の面積。[2]2つの条件がともに成り立つ確率。場合分けを行うか集合を用いる。[3]2次関数の接線と法線で作られる長方形の面積。[4]二項係数。[5]曲線に囲まれた面積。
● 工学院大学:[3]平面ベクトル。円に内接する三角形。[4]三角関数のグラフに囲まれた面積。[5]放物線と直線で囲まれた面積の最小値。
● 慶應義塾大学:理工[1]1次変換。楕円を標準形に直す。[2]原点を通る直線と円に接する直線とy軸で囲まれた面積の最小値。[3](1)ランダムウォーク。(2)絶対値の中に絶対値を含む関数の最小値。[4]斜軸回転体の体積。[5]ド・モアブルの定理。複素関数の収束。
● 横浜国立大学:理工・経済[1]毎年、計算問題が2題出題される。レベルも高い。[2]行列のn乗の計算。[3]軌跡の回転体の体積。[4]剰余の確率。[5]条件を満たす関数の増減。[6]3次方程式の解と係数の関係。対称式。[7]絶対値を含む関数の面積の最大最小。
● 東京医科歯科大学:[1]三角関数を用いた条件付の等式・不等式。[2]整数問題を絡めた行列の計算。医[3]歯[4]高次の関数の最大値。定積分の計算。条件付の不等式の証明。
● 横浜市立大学:医[1]小問集合。(3)文字が表示される確率。(4)円C上の点をC上に移す1次変換。[2]ライプニッツの公式。第n次導関数の計算。[3]円に接する放物線の面積の最小値。
● 電気通信大学:[1]三角関数を含む関数の増減と面積の計算。[2]指数関数を含む関数の積分。[3]ド・モアブルの定理を利用した方程式の計算。[4]正三角形の性質を利用した点の軌跡。
● 東京農工大学:前期[1]行列のn乗。対角化。[2]直線と平面の交点が描く曲線の長さ。[3](1)対数関数のグラフと直線で囲まれた面積。(2)ベクトルの内積の期待値。[4]2倍角の公式を用いた置換積分。後期[1]曲線の長さと面積。[2]ベクトルの内積。
● 明治大学:理工・政治経済・総合数理[2]三角関数のグラフを回転させた体積。[4]楕円の弦の長さ。全学部[1]小問集合。[2]三角関数の加法定理、和と積の変形公式。
● 東京海洋大学:[1]回転行列。対角化。[2]平面ベクトル。漸化式。[3]3次関数のグラフと接線で囲まれた面積。[4]条件を満たす領域。[5]三角関数のグラフとx軸で囲まれた面積。
● 法政大学:デザイン工・生命科・理工[1]小問集合。[2]数列の和と一般項。[4]2次関数、3次関数のグラフと接線。[7]f(x)=2xexの増減、面積。
第5回 大学入試分科会研究協議会
日 時 平成25年9月27日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)
場 所 東京都立小石川中等教育学校
参加者 11名
内容
(1) 東京学芸大学
(2) 津田塾大学
(3) 群馬大学(医学部[5][6]、その他の学部)
(4) 東京理科大学
(5) 一橋大学
(6) 東京海洋大学
● 東京学芸大学:[1]4元連立方程式(1)絶対値xが1にならないことを示す。(2)4元方程式を解く。(1)と(2)に関連はない。(2)を解いてから(1)を確認してもよいのでは?
[2]軌跡と領域の問題。双曲線の領域の図示
[3]関数の増減を用いた不等式の証明
[4]定積分を含む等式、不等式の証明
● 津田塾大学:数学科[1](1)x→0 のときx2/1-cosx =1/2 x→0 のとき(e3x-1)/3x=1 を知っていると見通しがつきやすい。(2) 式の分からないy=f(x)の定積分を回転体の体積から求める問題。
[2]双曲線の領域の図示あり
[3]漸化式、数列の一般項の最大・最小
[4]曲線で囲まれた面積とその最小値の問題
情報科学科 [1]小問集合
[2]放物線上の点と定点との距離の問題
[3]空間ベクトル平面の方程式の導出の問題
[4]定積分を含んだ方程式
● 群馬大学:医[5]格子点を数える問題。場合分けが大変である
[6]エピサイクロイドの問題。定点と動円の半径の比が1:1のときはカージオイド(心臓形)(3)曲線の長さ 公式は問題文に与えられている。
その他の学部[4]碁石を並べる群数列の問題(3)区分求積
[10]連立方程式x2-2y=8, y2-2x=8 y=xについて対称であることをイメージする
● 東京理科大学:[1]上半角行列の極限 [2]背理法を用いない整数の証明問題
● 一橋大学:[1]3次方程式の整数問題 不等式から範囲を狭める。難問
[3](3)変形をして相加平均相乗平均の関係を利用
[4]Oは球の内部にある。OPが最大になるのは球の中心に対してOとPが対称の位置にあるとき。[5](3)7の倍数判定法は使えそうにない。pn+1とpnの漸化式をつくる
● 東京海洋大学:[1]小問集合 ジャンケンのあいこの確率余事象を利用するか、二項定理の利用か。
[4]指数にnを含んでいる漸化式。両辺の対数を考え階差型の漸化式をつくる。
第4回 大学入試分科会研究協議会
日 時 平成25年7月12日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)
場 所 東京都立戸山高等学校
参加者 10名
内容
(1) 東京都市大学
(2) 東海大学
(3) 群馬大学
(4) 筑波大学
(5) 宇都宮大学
(6) 順天堂大学
(7) 玉川大学
(8) その他
● 東京都市大学:工[1][2]ともに小問集合。[3]正四面体の辺の分点の計算。[4]指数が逆数になっている。計算は標準であるが、結果が予測しづらいので苦しんだのでは。
● 東海大学:医[2](1)3直角四面体。体積から高さを求める。内分点を使っても求められる。(2)求める正四面体はケプラーの四面体である。ケプラーの四面体は早稲田大学でも出題された。[3]絶対値を含む2次関数。面積計算は1/6公式を使うと軽減できる。
理・工:[2]等角螺旋。[3]が数Ⅲの問題[4]が数Cの問題で、[3]と[4]の選択になっている。これは例年通りであるが、数Ⅲは必修にして欲しい。
● 群馬大学:医[1]二項定理の定番問題。[2]四面体の体積分割。面積ではよくあるが、体積に応用できたか。成分が分かっている場合、垂線は外積も有効。[3]単位円周上の分点。複素数平面を意識した出題か。
● 筑波大学:[1]7乗根を意識した出題か。2倍角、3倍角の計算。[2](1)部分積分を2回使う解法が考えられるが、積和公式で解く方が自然。(2)対称性を利用。[3]平面の円板を回転させたときの体積。位置関係の把握が難しい。回転体であるから半径が出れば良い。2009年度の東大で類問が出題されている。[4]3元連立漸化式。対称性を利用する。[6]準円の性質を扱った問題。頻出。2次曲線の性質は押さえておきたい。
● 宇都宮大学:[1]取り出したカードの数に関する確率。余事象、排反事象、和・積など様々な要素が入っている。練習問題に良い。[3]正三角形の内分点を頂点とする三角形の面積。(3)最大値は予測できてしまう。[6]指数関数の接線とx軸との交点との位置関係。x座標が等差数列になるので、よく題材として使われる。
● 順天堂大学:医[1]小問集合であるが1つずつが重い。(1)初項が与えられず級数から一般項を求めるのは本年度の学習院大と類似。(2)白銀比を表す連分数。黄金比、白銀比に関する問題は2011年度の東大、東洋大などで出題されている。(4)アフィン変換。行列の一次式であるから連立することで解ける。(5)正五角形であるから黄金比が出てくる。[2]アルキメデスの正反四角柱の体積。立体の把握が難しい。2008年度の東大で正八面体を回転させたときの体積が出題されている。
● 玉川大学:[1]小問集合。(5)不定方程式。新課程であれば教科書で学んでいる。[4]円の中心を通る断面で考え、相似を使う。体積は積分で出す問題にして欲しい。直円錐という言葉は教科書では扱っていない。
● その他:例年通り8月は行わず、次回は9月27日を予定。夏期休業中に、各自で入試問題の検討を進める。
第3回 大学入試分科会研究協議会
日 時 平成25年6月21日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)
場 所 東京都立戸山高等学校
参加者 12名
内容
(1) 学習院大学
(2) 駒澤大学
(3) 早稲田大学
(4) 茨城大学
(5) 東京大学
(6) 立教大学
(7) その他
● 学習院大学:理[2]三項間漸化式。初項が分からず極限値から一般項を求める。あまり見ないタイプの出題なので方針が立たない受験生が多かった。[4]三角関数と指数関数と直線で囲まれた部分の回転体の体積。定積分の計算は出来ていたが(1)の証明の方が出来が悪かった。
経済[3]差を取り、極値の積が負になれば良いが、ステップ数が多いのと、2次式と3次式の積になることから出来は良くなかった。
● 駒澤大学:[1]小問集合(2)底を揃えるなどして比較するが、常用対数の値は覚えておきたい。[2]2次方程式が整数解をもつ条件。この問題は誘導があるが、まず実数解をもつ条件を調べ範囲を絞り込む。
● 早稲田大学:基幹理工・創造理工・先進理工[1]準線や焦点の性質に関する問題は頻出なので整理しておきたい。[2]複素数平面の知識があればイメージしやすい。[4]非回転体の体積。(1)三角関数を用いるのが便利であるが、相似計算と三平方の定理で計算できる。[5]正射影であるから、結果だけなら計算しなくても分かる。しかし、これを言葉だけで説明しても恐らく点は入らないであろう。具体的に数値を与えて計算するべきである。(3)はケプラーの四面体。
● 茨城大学:理[1](1)リサージュ曲線とx軸とで囲まれた部分の面積。(2)〜(4)接線とx軸、y軸とで囲まれた部分の面積を二等分する直線の方程式。細かく順を追って誘導されている。茨城大学の問題は毎年、小問に細かく分かれている。今年は少なめ。[3]回転行列の累乗の計算。周期性を利用する。
● 東京大学:理[1]回転行列を利用する。行列の一次変換の問題であるが、単なる点列の問題と見ることも出来る。新課程でもこのような出題があるか。[2]定数分離の典型問題。本年度の中では取りやすい問題。[3]どちらかが2点獲得したら終わりであるから、基本的にはほとんど全部裏が出る。Aが勝利するためには何番目と何番目に表が出るかを考えればよい。[4]フェルマー点を題材にした問題であるが、フェルマー点の性質を使って答えるのであれば証明しなければならない。三角形の相似に着目すると比較的簡単に解けるが、一般的な解法ではない。時間はかかるが余弦定理から証明するのが正攻法ではないか。[5]本年度の中では最難問。(1)の不等式の中に連続する3つの自然数の積が出てくるので、これを使うことは容易に想像できるが、使い方に気が付けるか。一般に存在性の証明は例を挙げれば良い。[6]円錐を母線に平行な平面で切っているので、断面は放物線になる。このことに気が付けば方向性が見える。積分も1/6公式が使えるので、それほど煩雑ではない。
● 立教大学:理[1]小問集合。(2)七八三の三角形。センターなどでもよく出てくる。[3]三角関数を含む分数関数。微分も積分も楽ではないが、基本通りに計算すれば良い。様々な要素を含んでいて、練習問題に良い。[4]四面体とせずに、4つのベクトルとして扱っている。趣旨はどこにあるのか。
● その他:研修会で行った授業および研究協議について振り返った。
第2回 大学入試分科会研究協議会
日 時 平成25年5月31日(金) 16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)
場 所 東京都立戸山高等学校
参加者 9名
内容
(1) 首都大学東京
(2) 埼玉大学
(3) 研修会指導案の検討
(4) その他
● 首都大学東京:理系1[1](2)は(1)がヒントになっていることに気が付くか。△EFGの面積は線分EFと点Gとの距離が最短の所で最小値をとるから、点Fが点R、点Gが点Sの位置にあるとき最小値となる。[2]対角行列を利用した累乗の計算。[3](2)区分求積。極限値はCとx軸および線分PQで囲まれた部分の面積。(3)(2)の結果を使うように作られているが、気が付かないかもしれない。Cの方程式が分かっているので積分すれば求められる。置換積分に慣れていれば計算量はそれほど変わらない。
理系2[1]小さい順に並べられた10枚のカードを2枚ずつ入れ換える操作をn回行った後に1が左端にある確率。細かく小問に分かれ誘導されている。[2]y=|xex−a|とx軸、y軸、x=1で囲まれた面積の最小値。[3]放物線上に頂点がある多角形の面積。極限値が1/6公式になる。
● 埼玉大学:教育(数学専修)[1]指数の大小。指数を揃えて底を比較。f(x)=(63+x)100−5xとおくと、f(x)は減少関数。[2]ペル方程式の性質を扱った問題。α=5+2√6、β=5-2√6とおくと、αn=(αn+βn)/2、βn=(αn-βn)/2が成り立つ。[3]長方形を折り返した図形の線分の長さと三角形の面積。[4]放物面の問題であるが、実際は断面を切っているので2次関数の知識しか使わない。この立体に限らず、折りをみて発展的事項にも触れておきたい。
理(数学):[1]二項定理を用いた行列の累乗の計算。[2]4次関数のグラフとx軸とで囲まれた部分の面積。複2次式であるが、積分は展開して計算した方が早い。[3]関数のグラフを利用した不等式の証明。[4]4面体を題材にした空間ベクトルの問題。内積および辺の長さから体積を求める。
● 研修会指導案の検討:単元は「場合の数」。「場合の数」を指導していて生徒から一番質問を受けるのは「どういう時にPを使い、どういう時にCを使えば良いのか」ということ。生徒は言葉では理解しているが、問題が出されると解けない。授業では結論を出すことを重要視せず、多くの具体例を考えさせ、発表させ、互いに説明し合うことで理解を深める授業を目指す。
● その他:常任理事会の結果報告、および大学入試懇談会の記録の報告などを行った。
第1回 大学入試分科会研究協議会
日 時 平成25年4月19日(金)16:30~20:30(研究協議18:00~20:30)
場 所 東京都立戸山高等学校
参加者 8名
内容
(1) 授業研究について
(2) 京都大学
(3) 東京工業大学
(4) その他
● 授業研究について:今後、都数研のすべての分科会で授業研究や研究発表を積極的に行っていく。大学入試分科会では主に入試問題の解法について検討しているが、大学入試分科会で研究した内容をどのように授業に生かしていくか、あるいは実際に役立ったか等について話し合った。以下、主な意見を列挙する。
1) 2013年度、大阪大学で三角関数の極限に関する公式および点と直線との距離の公式の証明が出題された。以前、上智大学でも直線との距離の公式の証明が出題されたことがある。また1999年度の東京大学で三角関数の加法定理の証明が出題されたのは有名である。公式は使えるだけでなく導けないといけないことを改めて実感した。
2) 数列や確率などの問題で、実際に手を動かして試行錯誤をすることで答えが出てくるような出題が増えてきた。授業においても、まず図を描いたり、具体例を試したりといった活動をさせることが大切であることを学んだ。
3) 計算ではなく言葉を理解すること、論理的な考え方をすることが求められており、生徒に説明させることなどの重要性を知った。
4) 入試問題は大学からのメッセージである。単に入試問題を解くだけでなく、生徒にどのような力を身に付けさせるのか、どういう力が必要とされているのかが、入試問題を研究することで分かった。
5) 多くの問題をストックできた。題材を豊富に持つことで、生徒の実態に応じ、難易度を変えて出題することも出来る。思考力を必要とする問題は学力とは関係がない。
● 京都大学:理[1]交点の位置ベクトルの問題である。図形問題として比例計算で解くこともできる。メネラウスの定理を用いた解法もよく使われる。[2]順に書き出していけば、すぐに規則性に気がつく。n が大きくなるとan → 0となることから、最大値が求まることが分かる。[3]ペル方程式を背景とした問題である。京大は2009年度もペル方程式を題材にした問題が出題された。[4]2階微分を用いて増減を調べる。求めるのは最大値であるから極小値は必要ない。[5]APと点Aにおける接線が垂直に交わることから接点を求める。面積は対称性を利用する。[6]具体的に医歯を動かしてみれば規則性に気がつく。計算量もなく、難易度は高くない。全体として易化した印象である。近年の傾向で、問題を易しめにして記述力を問うているということだろう。
● 東京工業大学:[1](1)帰納法で証明する。N=k,k+1の仮定が必要。(2)基本的な確率の問題であるが、分母と分子の数値が大きくなるので、計算ミスをしないように注意。[2](2)ハミルトン・ケーリーの定理を利用して次数を下げる。[3]定数分離の典型問題。極値は対数微分を利用する。[4]三角関数の不等式を解き、区間の級数を求める問題であるが、グラフを考えると結果が予想できる。[5](1)距離を利用する方法と重解条件を用いる方法が考えられる。(2)(3)標準的な面積計算。完答したい問題。大問が1問減ったため、難易度の低い問題が少なくなったが、全体としては量が減り、難問も減っている。どちらをとるかで難易の評価が分かれた。
● その他:5月19日(日)に学習院大学で大学入試懇談会が行われる。毎年、大学入試分科会から記録係として1名参加している。来月の分科会は5月31日に戸山高校で行う。5月の分科会で、6月17日の研修会の授業内容について検討する。